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結線




「ちょ、ムリムリ!がくちゃん!ムリだって!」
「ムリかどうかは貴様が決めることではない。」

あたふたと慌てるカイトをむんずとひっつかまえると、がくぽは有無を言わさず頸部のジャックに自らの出力ケーブルをねじ込んだ。
途端にカイトの中にはかつて経験したことのない高密度データの生成が始まる。

「わああああ、待って待って!オーバーしてる!色々オーバーしてるよ!」

高スペックの現状最新モデルであるがくぽからからなだれ込む、暴力的なほどのデータ群とそれを支える高出力にカイトはさらに慌てふためいた。
試行計算だけでラッチアップを起こしそうなほどの高密度データである。
生成の負荷もさることながら、出力に必要なパワー自体もカイトにはとても自分がスペックを満たしているとは思えなかった。

「あまりうるさいと遮断するぞ。生成プロセスに集中しろばかもの。」

背後に立つがくぽはとりつくしまもない。
あまつさえ、かくかくと震えるカイトの膝を目に留めるとぐいとその肩を押し下げ、膝をつかせた。
ケーブルごと首を固定されているカイトにはがくぽの表情は見えないが、見えたところで彼は手加減などしてくれないのだろう。

「駆動体の安定くらい自分でとれ。」
カイトはほぼ諦めの境地で、今は無用と思われる全身の動力管理レベルを落とした。

「あれ、痛くない…?」

アンドロイドに搭載される「痛覚」は人間のそれと同じ、すなわち「危険」のレベルメータとしての役割を持つ。
この無茶な高負荷に、痛覚からの信号を当然予想していたカイトは戸惑った。
とてつもないデータの奔流が自らの内部を暴れ回っていることは感じ取れるのだが、それが「痛み」にならないのだ。

「演算処理の一部をこっちに分散してある。リミッターは私と同じだと思え。」

かすかに眉根を寄せてがくぽが答える。
高スペックならではの余剰メモリと出力で、がくぽはカイトの処理の一部を自身の領域にも展開していた。
同時に、カイトの痛覚信号を排除することで生成プロセスの効率を無理矢理上げる効果もあった。

「痛がりですんません…がくちゃん痛くないの?」
「やや痒い。」

カイトとがくぽでは、処理エンジンのみならず、細かい駆動体の効率性や柔軟性に様々な違いがあった。
旧型にあたるカイトが痛みとするデータも、最新モデルのがくぽには痛みという危険レベルまで達しないのであろう。
カイトが「痛がり」なのは、旧型ならではの柔軟にこなれた処理プロセスを安定させるための仕様でもあった。

「痛くないならいいけど、がくちゃん結構デリケートだから、」

みなまで言わせず手にした扇子でべちんとカイトの頭をはたくと、がくぽは自身も高密度データの生成に取りかかった。
カイトは文字通り目の当たりにしたがくぽの高スペックぶりに、がくぽは蓄積の成果であるカイトの柔軟な演算機能に、それぞれが少し驚いているようだった。






※KAITOさんに「がくちゃん」て言わせたかったんです。






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